塩焼きをご存知の方は多いかと思います。
アジ(鯵)塩焼きにするか、三枚におろして素揚げやフライが定番の魚ですよね。
日本の食卓ではよく見かける食材で、特に塩焼きはレモンと大根おろしで頂くと最高のおかずです。
でも、アジ(鯵)の缶詰を見かけないと思いませんか?
サバ缶はどこにでも売っているのにアジ缶って近所では殆ど見かけません。
ネット通販でようやく見つけることができますが一缶千円以上の価格がついています。
そこで今回は、アジ(鯵)の缶詰がない理由について調べてみました。
目次
缶詰に向いているかは旨味成分がカギを握っている!?
イワシやサバ、サンマなどの缶詰は近所のスーパーで簡単に手に入ります。
サバやイワシなどの回遊魚は長く泳ぎ続けている魚で、筋肉を形成する赤いタンパク質が多く、身が赤くなります。
この赤い身の部分には、旨味成分であるイノシン酸や、アミノ酸の一種であるヒスチジンという成分が多く含まれ、缶詰やカツオ節などに加工されて一般に出回っています。
アジも同じ回遊魚ですが、なぜ缶詰に使われないのか?
アジはサバやイワシと同じ回遊魚の一種ですが、その中で最も赤身の部分が少なく、ヒスチジンの量はかなり少ないでのです。
また、青魚には脂身が多く、酸化すると酸素と結びついてヘキサノールという臭い物質に変化し、臭いのある臭い缶詰が出来上がってしまうのです。
その結果、缶詰にすると美味しくなくなってしまうのです。
生臭く、美味しくないものは売れませんよね!
ちなみにサバやイワシ、サンマ等は抗酸化物質である酸を多く含み、臭いの発生の元であるヘキサノールを抑えてくれるため臭くないのです。
という事で、アジは缶詰に加工するよりも干物の方が向いているのでしょう!
アジ(鯵)の缶詰が市場に出回っていないのはそのような理由によるものでしょう。
希少なアジの缶詰・味が濃い
アジの缶詰が全く無い訳ではありませんが、濃い味付けをしたものが多い傾向にあります。
その理由は、前述の通り、白身魚は缶詰に適していないからで、肉質にヒスチジンとイノシン酸が少なく、生臭くなりやすい傾向にあり、水煮や油漬けなどの缶詰に加工すると美味しくないんですね。
その結果、僅かに出回っているアジの缶詰も南蛮や味噌煮などに加工して臭いを消した濃い味付けの缶詰になってしまう傾向にあり、シーチキンなどのあっさりしたものが無いんですね。
加工に手間がかかる
アジの缶詰が市場に出回っていないもう一つの理由は、加工に手間が掛かることにあります。
サバやイワシのように圧力をかけて煮ても骨が固く、アジ類特有のゼンゴと呼ばれる尾びれ付近にある硬い鱗を取らないといけないため、サバ缶のように骨ごと含まれた商品にはなりにくいのです。
サバやイワシは傷みが早く、すぐに缶詰に加工され、アジは新鮮なうちなら「タタキ」、後は干物やアジフライの方が市場に受け入れられているのでしょう。
アジ(鯵)ってどんな魚なの?
スズキ目アジ科
アジ(鯵)は温暖性の魚で、北海道南から東シナ海の岩礁や深場の海に生息しています。
アジは日本では昔から馴染みのある魚で、ゼンゴという硬いトゲのような鱗が尾びれの近くにあります。
アジ科には多くの種類がいて、一般的な食用としてはマアジ、ムロアジ、シマアジがよく知られています。
アジの漁獲量については長崎県(マアジ、ムロアジ)がトップで次いで鹿児島県、和歌山の順です。
また、ムロアジは長崎県と島根県がダントツでこの2県で全国の半分以上の水揚げを誇っています。
アジの種類
- ・マアジ(真鰺)
- [科目] スズキ目アジ科マアジ属
最もメジャーなアジで、アジといえばこのマアジのことを言います。
また、マアジは黒っぽい色をして回遊性のあるクロアジと、黄色っぽい体色をしたキアジがあります。 - ・ムロアジ(室鰺)
- [科目] スズキ目アジ科ムロアジ属
ムロアジ類の特徴は、背鰭と臀鰭の後ろに分離した小さな鰭があることです。
同じ仲間にはクサヤムロアジ、オアカムロアジなどがあり、クサヤムロアジは高級な「くさや」の原料としても有名です。 - ・シマアジ(縞鯵、島鯵)
- [科目] スズキ目アジ科シマアジ属
日本ではアジ類の中で最高級の食材として扱われ、鯛のように背高があり、尻ビレの手前に2つ遊離鰭体側の中央にも黄色い縦帯があります。身は刺身、寿司、塩焼き、蒸し物などに調理されています。
まとめ
アジの缶詰がない理由はいかがでしたか?
理由は缶詰にすると美味しくないからという単純なものでしたが、美味しくしようと思えば可能かと思います。
しかし、それにはコストがかかり一般的な食用としては現実的な価格で提供できなくなるからというのが正しい答えでしょう。
という事で、アジの缶詰がない理由に納得いただけたでしょうか?